(3) CV35-ベストセラーの憂鬱

2001年12月28日

 全長3.17m、全幅1.42m、全高1.29m、重量3.15t。記録的に小型軽量のカルロ・ベローチェCV35は戦前の「小さくて安い」戦車の代表格のひとつだった。
 イギリスの有名なカーデンロイドMk.IVのライセンスを受けてイタリアのフィアット・アンサルド社が開発したこの戦車は、本家のカーデンロイド同様、輸出に大成功をおさめた。輸入国はアフガニスタン、アルバニア、オーストリア、ボリビア、ブラジル、ブルガリア、中国などである。CV35は世界のベストセラー戦車だった。
 しかし、他の「小さくて安い」戦車同様、実際に戦闘に投入されると、その成功はたちまち過去のものとなった。スペイン市民戦争で、本車は「まったく役に立たない」という評価を下される。

 CV35は敵歩兵の特火点(機関銃陣地)を撃破するために作られた戦車である。武装はブレダ8mm機銃が2梃、最大装甲厚は15mmだった。
 実際には、歩兵の特火点を効果的に破壊するには戦車砲による榴弾射撃が必要であった。車載機銃のみでは戦車は味方歩兵の援護も十分に果たせない。ましてや戦車戦では機銃はまったく役に立たない。戦車には戦車砲が必要不可欠なのだ。このような事実は第二次大戦を通じて明らかになるのだが、30年代にはまだ機銃のみを装備した小型軽量の戦車がさかんに作られていた。

 イタリア陸軍機甲部隊の悲劇は、戦前の商業的成功と現実の戦闘での敗北のギャップを早期に埋めるだけの生産力のバックアップを得られなかったことである。
 スペイン市民戦争の経験から、イタリアは新世代戦車L6とM13を開発した。しかし、1940年のイタリア参戦時、機甲部隊の装備する戦車のなんと75%は依然としてCV35とその前身のCV33であった。以後、本車は敗北と損耗の歴史を続ける。後継のL6が早々と対戦車自走砲に姿を変えて消えていったのに、CV33/35は保有台数の多さゆえに北アフリカ戦の終了まで第一線にあったことも悲劇的であった。本車は自走砲化したくてもあまりに車体が小さすぎた。

 よく売れる商品がよい商品とは限らない。兵器においても、また同じである。イタリアは本車を2000台も生産し、自国の若者の悲劇的犠牲をもって、その実例を歴史に刻んだのだった。


キット:クリル
スケール:1/35
制作者:不肖、私
制作時期:2001年10〜12月

 9年前に購入したホワイトメタル製のガレージキットです。さしたる制作技術もない私がなんでこんなキットを買ったのか、今では皆目わかりません。
 予想通り、組み立ては困難を極めました。合うべきところが合わず、はまるべきところがはまらない。ガレージキットって、こんなもんでしょうか?
 ちなみに、クリルはCV33とCV38もレジンキットで出していて、できはそちらの方がかなりよいようです。
 塗装は、迷った末にミスターカラーのドイツ空軍用サンドイエローを基本塗装に使いました。ドイツ陸軍のサンドイエローより赤みが強く、私のイメージするイタリア戦車にぴったりの色合いを出すことができました。

追記:徳島モデラーズクラブ(T.M.C.)主宰「マイナーキットコンテスト」(2002年)に本作を出品したところ、5位入賞となりました。T.M.C.の方々、ならびにネット上で本作を鑑賞、投票していただいた方に感謝申し上げます。    


COPY RIGHT:六高寺 弦 ROKKOJI Gen
E-MAIL ADRRESS:rkj@ezoya.co.jp

BACK TO TOP